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お茶の時間

お茶など飲みながら書き、そして読んでいただけたら幸いです。

詩を書かない詩人

人々

 私が20歳くらいの頃ですから、もう25年以上も前になります。

 当時は本屋でバイトをしていました。

 その本屋さんで同じくバイトをしている年上の先輩女性でAさん(仮に)がいました。Aさんは昼間は本屋で働き、夜は大学生(夜間部)という忙しさにもかかわらず、とてもさわやか、ほがらか、笑顔が素敵な女性でした。

 そのAさんの言葉で特に印象に残っているのが、

「うちのお父ちゃんな、詩人やねん」

 です。

「でもな、詩をいっこも書いたことない人やねん」

 そこで、本屋でバイトをしている人々は笑い、Aさんも同じく半分、笑い話のようにそう言っていらっしゃったのを覚えています。

 私としては、

 「詩を書かない詩人」=「話してる言葉が詩のようなお父さん」

 と思い、それも立派な詩人でないかな…などと思っていました。

 子を見たら親がわかる…とはよく言われています。

 私が「詩を書かない詩人」のお父さんも素敵だろうな…と思えたのは、きっとAさん自身が素敵な方だったからだろうと思います。